住宅ローンの借入額を検討する際によく耳にするのが、「年収倍率」という言葉です。年収倍率とは借入する人の年収に対して借入額が何倍になっているのかを表す指標のことで、一般的な金融機関では8倍~10倍が借入限度額となります。

この年収倍率に沿った借入額ですが、金融機関が貸してくれるのであれば安全なラインに思えます。しかし、ライフスタイルや家族構成、働き方によっては返済が難しくなるケースもあるため、一概に安全ラインとはいえないのが現状です。

そこで、この記事では世帯年収から住宅ローンを決める際の注意点と、住宅ローンを借入する際のポイントについて解説します。家の購入を検討するものの支払いに不安がある人は、是非最後までお読みください。

不動産種別ごとの世帯年収倍率

ここでは実際に購入した買主の、不動産種別ごとの世帯年収倍率について解説します。年収倍率は借入額が下がることで同じように下がるため、物件の購入価格によって当然変動します。

そのため、実際に購入した買主が各種別においてどのくらいの倍率で購入したのかを知ることで、ある一定の判断材料になるでしょう。なお、この章では住宅金融支援機構(フラット35)が公開しているデータを基に解説します。

(引用サイト:2021年度 フラット35利用者調査)

・注文住宅
・建売住宅と中古戸建
・新築マンションと中古マンション

注文住宅

注文住宅には土地が指定される「土地付き注文住宅」と土地を探す必要がある「注文住宅」に分かれており、土地付き注文住宅の世帯年収倍率は7.5倍、注文住宅の場合は6.8倍となっています。この差については、土地を購入し保有できる大手メーカーが土地付き注文住宅を供給する傾向にあるため、建物価格がローコスト住宅よりも上がりやすいことが理由です。

建売住宅と中古戸建

建売住宅は既に建築されている新築住宅のことで、倍率は7倍となりました。また、中古戸建ては建売住宅よりも取得金額が約550万円ほど安くなっており、その結果5.7倍と大きな開きがありました。

新築マンションと中古マンション

マンションにおいても新築マンションは7.2倍と注文住宅と同レベルの倍率になっているのに対し、中古マンションは5.8倍でした。この結果については取得金額差が約1,500万円となっていることがそのまま反映された形となります。

住宅ローンを組む際の注意点

住宅ローンを組む際には前述した世帯年収倍率を参考にするとともに、次に挙げるポイントを踏まえて検討しましょう。2022年においてもゼロ金利政策が継続されたものの、他国の金利上昇は固定金利を上げるキッカケとなりました。そのため、現状で最適な住宅ローンの組み方を選ぶためには、多角的に判断することが重要です。

・低金利だけで金融機関や返済方法を選択しない
・将来を見据えたシミュレーションをする

低金利だけで金融機関や返済方法を選択しない

金融機関を選ぶポイントとしては、やはり金利が安いかどうかがあります。ノンバンクやネットバンク、地方銀行などは非常に金利が安く魅力的ですが、金利が安い代わりに他の金融機関にはあるサービスが欠けている筈です。たとえば団体信用生命保険の種類が少なかったり窓口がないというケースがあります。

また、変動金利は安く、固定金利は変動金利より高いですが、それぞれにメリットとデメリットがあるため一概に安いというだけで選択することはリスクがあるといえるでしょう。
つまり、金融機関の選択は商品や返済方式の仕組みとメリットデメリットを全て把握した上で進める必要があるということになります。

こういった金融機関の情報は理解することが非常に難しい場合も多いため、不動産会社やハウスメーカーの担当者に分かりやすく解説してもらうことをおすすめします。

将来を見据えたシミュレーションをする

人生の三大支出は住宅、教育、老後資金だと言われており、もっとも最初に必要となるのが住宅資金であることが多いです。そのため、検討している借入額は本当に将来にわたって安全を担保されているかどうかは、非常に重要です。しかし、将来どのような支出があるのかを想定することは困難でしょう。

そこで、ファイナンシャルプランナーによるライフプランを受けることをおすすめします。
ライフプランは現在の年収や支出を細分化し、さらには教育資金や老後資金がどのタイミングでいくら必要になるのかをシミュレーションすることができます。

また、車の買い替え頻度や旅行の回数など、家を購入したあとにどのような生活を送れるのかにおいても把握することができるため、必ず住宅ローン借入時にはライフプランを実施しましょう。

共働き世帯で住宅ローンを組む際のポイント

共働き世帯が住宅ローンを組む場合は、それ以外の世帯よりも選択肢が増えます。
そこで、共働き世帯の住宅ローンを組む際のポイントについて解説します。

・どちらか片方が主たる債務者となる
・ペアローンを選択する

どちらか片方が主たる債務者となる

どちらか片方だけが住宅ローンを組む場合は、年収が高い方で組むことをおすすめします。
借入額を増額することができ、万が一の死亡時に受けられる団体生命信用保険についても最大限受けることができます。

ただし、年収に差がない場合や低い場合にはうまく借入額が増えないこともあります。そういった場合には連帯保証もしくは連帯債務を選択しましょう。どちらの契約形態においても主たる債務者とは別に連帯債務者としてもう1人の年収を合算する事ができ、世帯年収として扱われます。

そのため、主たる債務者の年収が400万円で連帯債務者が300万円の場合、単体契約では400万円ですが連帯債務であれば700万円となります。このように、契約者が1名であっても契約形態がいくつかあることを把握しましょう。

ペアローンと選択する

ペアローンとは2人が同じ銀行で別々に住宅ローンを組むという契約形態です。この場合はそれぞれの年収に応じた年収倍率で算出されるため、借入額がもっとも増えます。また、連帯債務と同様にペアローンではそれぞれに住宅ローン控除を受けることができるというメリットもあります。

ただし、万が一の死亡時に適用される団体生命信用保険についてもそれぞれの契約にしか適用されませんので、注意しましょう。

まとめ

住宅ローンは家を購入する際に必ず検討する重要なポイントです。そのため、金利だけでなく借入方式や契約形態など、様々なポイントを考慮する必要があります。インターネットで調べても分からない場合は銀行担当者や不動産会社、住宅会社の担当者に質問し、理解できるまで確認しましょう。山形、天童、東根、その他山形市周辺市町で家の新築をお考えの方は、お気軽に当社へご相談ください。