家作りにおいて、日当たりの良さは重要なポイントです。一般的には南向きが日当たりが良いとされていますが、一概にそうではありません。この記事では日当たりの良い家を作るためのポイントを、方角別の特徴を踏まえて解説します。

南向きが必ずしも日当たりが良いといえない理由

そもそも家作りにおける方位とは、前面道路がどちらの方角に面しているのかを表します。また、道路上には法律の制限上、建物を建築することができません。そのため、道路幅が広い南向きの土地であれば、たしかに日当たりは良いことが多いです。

しかし、日当たりは周辺の建築物や時間帯によって大きく変化します。例えば北東側や南西側に大きな建築物がある場合、南向きであっても朝しか日が当たらない可能性があります。
また、前面道路が狭い南向きでは住宅同士の距離が近くなるため、日中であっても暗く感じるでしょう。

このように、方位が南向きだからといって必ず日当たりが良い土地とはならないため、注意が必要です。

方角別の特徴

ここでは採光に関する方角別の特徴と、日当たりに関する対処方法について解説します。

東向きの家

太陽は東から登るため、朝一番に日当たりを感じたい人は東向きの土地が良いでしょう。その一方、昼間の早い段階から日陰になります。そのため、日中はリビングで過ごし洗濯物は東側に向けて干すようにしましょう。そして、昼以降に日干しに切り替え、家事や外出をすることで日陰を感じにくくなります。

西向きの家

西向きは昼過ぎから夕方にかけて日が入ってきますが、実際には正午よりも少し早い時間から日当たりを感じることができます。そのため、実際に建築された家を観察するとそこまで日当たりが悪いイメージを持つことはないでしょう。

どうしても日当たりを感じたい場合は、道路を反対側にある2階の部屋にバルコニーやベランダを設置し、午前中の日当たりを確保するようにしましょう。このような間取りにすることで、一日中どこかの部屋に日当たりがある状態になります。

南向きの家

南向きの家は全方角の中で最も日当たりが良く、採光時間が最も長く感じることができます。そのため人気が高い土地でもありますが、その一方で日当たりが良すぎるという問題があります。夏になり猛暑日が続いた場合、南側に接する窓付近の気温は非常に高くなります。そのため家の中にいても南側から離れないと暑さを感じる事態になってしまい、高熱費も高くなります。

このような事態に対応するため、断熱性能の高い外壁や断熱材、複層ガラスなどを使用することをおすすめします。家屋内の気温を一定にすることができ、夏だけでなく冬も快適に過ごすことができます。

北向きの家

北向きの家は日当たりが悪く、暗いイメージがあります。前面道路が北側にあるため、南東側からの朝日は自分の家によって日陰となってしまいます。そのため、玄関やリビングに吹き抜けを設置することで家屋内に日の光を取り込む等の工夫が必要です。

北向きの土地はその他の土地よりも価格が安いため、家に費用を回せるというメリットもあります。このように、北向きというだけでNGにするのではなく、日当たりを良くする方法がないかを検証した上で決めるようにしましょう。

日当たりを良くする間取り

日当たりの悪い土地を購入後、道路の位置や接道箇所を増やすことは事実上不可能です。そのため、土地を購入する段階ではある程度日当たりが確保できる間取りをイメージしておくことが重要です。日当たりを良くするための代表的な間取りとして、次の3つが挙げられます。日当たりが良くない土地で間取りをイメージする際には、必ず検討するようにしましょう。

・南側を空ける
・2階リビングにする
・2階を小さくする

南側を空ける

北向きの土地であっても、南側の敷地を空けることで日当たりをある程度確保することができます。また、東側を空け駐車スペースを確保するという間取りもおすすめです。全ての部屋が日当たりの良い環境である必要性はない場合が多く、ほとんどの場合はリビングの日当たりが重要視されます。そのため、1階リビングの日当たりが最大化する間取りを検証するようにしましょう。

2階リビングにする

どうしても1階のリビングに日が入らない場合、2階リビングを検討しましょう。水回りを全て2階に設置することになるため建築コストは多少高くなるものの、どの方角の土地であっても一定以上の日当たりを確保することができます。また、1階部分に1部屋分のスペースができるため、玄関横に応接用の部屋を設けたり3階建てにして1階をインナーガレージにする等、間取りの幅が広がります。

2階を小さくする

自分の家で日当たりが悪くなる場合は、2階部分を小さくすることで日当たりが改善するケースも多いです。感じの「凸」のような形状にすることで、1階部分のほぼ全てに日当たりを確保することができます。1階天井部分がバルコニーとなるため、庭を設置するなど有効的な活用方法を選択するようにしましょう。

まとめ

注文住宅を検討する上で、日当たりは多くの人が重要視するポイントです。そのため、南向きや東向きの土地だけを探す人も多いですが、間取り次第では西向きや北向きの土地であっても十分に日当たりを確保することができます。後悔しない家作りにするためにも、土地に応じた間取りを検討するようにしましょう。