屋根は形状や材質によっていくつかの種類に分けられますが、住宅の屋根に使われる代表的な屋根は「瓦屋根」と「板金屋根」です。この2種類は家のデザインや用途によって使い分けられますが、それぞれの特徴を知ることでイメージ通りの家づくりを進めることができます。そこで、この記事では瓦屋根と板金屋根の違いについて解説します。

瓦屋根の特徴は?

瓦屋根は昔から住宅で使用されており、陶器のように焼成によって製造されます。城や蔵など昔からある建造物にも使われていますが、どのような特徴があるのでしょうか。

この章では瓦屋根の特徴について解説します。

・古風なデザインの家に合う
・耐久性が高い
・断熱性が高い

古風なデザインの家に合う

古民家のような昔ながらの家を目指したい人には、瓦屋根がおすすめです。たとえば木造の平屋を古民家風のデザインで建築した場合、瓦が金属製だとどうしても違和感が出てしまいます。また、屋根は遠くから家を見た際に目がいきやすい場所でもあるため、外観全体にこだわりを持ちたい人は瓦屋根を検討しましょう。

耐久性が高い

瓦屋根を使用している城や蔵はメンテナンスを施すことで何百年も維持させることができ、非常に耐久性の高い屋根となります。そのため、台風や豪雨によって予期せぬ飛来物があってもキズがつきにくく、家をしっかり守ってくれるでしょう。ただし、全くキズがつかないわけではなく一度ヒビが入ると水が浸透し割れる可能性があります。つまり、瓦屋根は耐久性が高いからメンテナンスをしなくて良い、というわけではなく、定期的なメンテナンスは必須ということにご注意ください。

断熱性が高い

瓦は焼き物のため、熱を通しにくいという性質があります。つまり瓦屋根の採用は家の断熱性を高めることになり、魔法瓶のように家全体の熱エネルギーを内側に閉じ込めてくれます。このように断熱性が高い家は熱効率が高く、夏は涼しく冬は暖かい家になります。このことから断熱ボード等に頼らずに断熱性能を高くしたい人にとっては、瓦屋根はおすすめの屋根といえるでしょう。

板金屋根の特徴は?

瓦屋根について解説しましたが、板金屋根にはどのような特徴があるのでしょうか。板金屋根には「ガルバリウム鋼板」や「トタン」などいくつかの種類がありますが、この章では板金屋根でもっとも使用される「ガルバリウム鋼板」について解説します。

・軽い
・防水性が高い
・耐火性が高い

軽い

瓦屋根のデメリットには「重い」という特徴がありますが、それに対し板金屋根は軽いというメリットがあります。屋根が軽いと家全体の重さも軽くなり、さらには重心も低くなります。つまり、重さが軽い板金屋根を採用することで地震の揺れや台風に強い家を建てることができることになります。そのため、耐震性が高い家を建てるのであれば、板金屋根がおすすめです。

耐水性が高い

瓦屋根は耐久性が高いもののヒビが入ると水が浸透する可能性がありますが、板金屋根はヒビが入る可能性が低く耐水性が非常に高い屋根になります。そのため、本来水を流すために勾配を急にしなければならないケースであっても勾配を緩やかにすることができ、外観のデザインを広げることができます。このように、板金屋根を採用することで雨漏りのリスクを下げ、イメージ通りのデザインにすることができるでしょう。

耐火性が高い

板金は熱に強く、火災や夏場の日光で変形しにくい素材といわれています。そのため、隣地の火事で屋根が燃えることを防ぎ、家屋内の安全を確保できる家を建てることができます。

板金屋根と瓦屋根の違いとは

ここまで板金屋根と瓦屋根の特徴について解説しましたが、採用する上で違いをしっかり把握することでそれぞれの特徴を活かすことができます。そのため、この章では板金屋根と瓦屋根の違いについて解説します。

耐震性の違い

耐震性については板金屋根の方が瓦屋根よりも強いといえます。その理由は前述した通り板金屋根の方が軽く重心が低くなるため、地震の揺れによるダメージを小さくすることができるからです。最近では瓦屋根でも軽量化された製品がでていますが、長期優良住宅の取得しやすさという点においても板金屋根の方がおすすめです。

耐久性の違い

耐久性については板金屋根も瓦屋根も高いといえますが、破損した場合の影響を考えると板金屋根の方が家へのダメージが小さくなります。なぜなら板金屋根は飛来物による破損は「変形」に留まりますが、瓦屋根の場合は「割れ」や「ヒビ」に繋がるからです。そのため、直接天井にダメージが届いてしまうのは瓦屋根になってしまいます。

メンテナンス工数の違い

板金屋根も瓦屋根も、メンテナンスは必須です。ただし、メンテナンス工数は板金屋根の方が「ズレ」や「ヒビの発生」がない分、低くなるでしょう。

まとめ

瓦屋根と板金屋根はそれぞれに特徴があり、建てたい家のイメージに合う方を選択すべきです。ただし、耐久性や耐水性、メンテナンス工数という点においては板金屋根の方が優れる点が多いため、両方の特徴をしっかり検討した上で採用しましょう。